親族に該当するかどうかで税制上取扱いが異なる

親族に該当するかどうかで税制上取扱いが異なる

横浜市青葉区の税理士、古嶋(フルシマ)です。

民法では親族の範囲について、六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族を親族とする、と定めています(民法第725条)。この親族に該当するかどうかによって、税制上取扱いが異なります。

扶養控除

親族は扶養控除の対象になりますが、内縁関係の配偶者については、配偶者控除の対象になりません。一方で、同族会社の判定などでは「特殊関係者」として親族同様に扱われています。

また、内縁関係にある相手との間に生まれた子(非嫡出子)は、未認知である限り親族に該当しないため実子であっても扶養控除の対象になりません。しかしながら再婚相手の連れ子は、たとえ養子縁組をしていなくても一親等の姻族に該当するため、生計を一にするなどの要件を満たせば、扶養控除の対象になります。

親族に支払う必要経費

所得税法は、親族間で支払った経費は、青色事業専従者給与などを除き、原則として必要経費として認めていません。それは所得税が個人単位課税を採用していることから、家族に所得を分散することによって超過累進税率の適用を回避することを防止するためといわれています。

弁護士である夫が別の事務所に勤務する妻に支払った報酬を必要経費として認めない、とした最高裁判決があります。

医療費控除(療養上の世話の対価)

保健師・看護師等を依頼することができない状況にある場合に、療養上の世話を受けるため家政婦など特に依頼した者に対して支払う謝礼は、医療費控除の対象となります(所得税基本通達73-6)。しかしながら、労務の提供の対価の支払を前提としない親族に対して支払う謝礼は、医療費控除の対象とはなりません。