民法と相続税法における実子と養子

民法と相続税法における実子と養子

横浜市青葉区の税理士、古嶋(フルシマ)です。

民法と相続税法

民法では、養子の数に制限をもうけていませんが、相続税法では、相続人に養子がいる場合の相続人の数、法定相続人ですが、その数に含める養子の数を制限しています。理由は、養子の数が増えると次のような税負担の軽減が図られるからです。

  • 遺産に係る基礎控除額が大きくなる
  • 累進税率が緩和され相続税の総額が縮減される
  • 保険金の非課税限度額が大きくなる
  • 退職手当金の非課税限度額が大きくなる

制限される養子の数

被相続人に養子がある場合には、次の区分により「法定相続人の数」に含める養子の数が制限されます。

  • 相続人に実子がいる場合・・・・1人
  • 相続人に実子がいない場合・・・2人

なお、この制限措置は、民法上の養子縁組の効力や養子に相続人としての地位を否定するものではありません。あくまで相続税の計算上の措置にすぎないので注意が必要です。

みなし実子

民法上は、被相続人と養子縁組により養子になった者であっても、次の養子は、相続税の課税上、実子とみなし、法定相続人に含める養子の数の制限の対象から除外しています。

  1. 民法の特別養子縁組による養子なった者
  2. 被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子になった者
  3. 被相続人との婚姻前に被相続人の配偶者の特別養子縁組による養子となった者でその被相続人の養子となった者
  4. 被相続人の実子若しくは養子又は直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため相続人となったその者の直系卑属

上記、2.又は3.のいわゆる配偶者の連れ子養子については、被相続人とその配偶者との婚姻後にその被相続人の養子となった者に限られます。したがって、被相続人と配偶者との婚姻前に被相続人と養子縁組をしても、それは実子とみなさる養子ではなく、通常の養子として取り扱われます。

なお、被相続人の配偶者の死亡後その配偶者の子と養子縁組をした場合には、姻族関係を終了させた後の養子縁組でない限り、被相続人の配偶者の実子(特別養子も含む)で被相続人の養子となった者、すなわち実子とみなされる者に該当しますので留意が必要です。

 

消費税

前の記事

個別消費税の取扱い
豆知識

次の記事

契約書作成の意義とは