水道加入金・公共下水道受益者負担金について

水道加入金・公共下水道受益者負担金について

横浜市青葉区の税理士、古嶋(フルシマ)です。

新築の建物や既存の建物において、建物内に水を供給する給水設備工事や汚水・雨水等を建物外に排出する排水設備工事を行う場合には、「建物附属設備(給排水設備)」として資産計上し、定額法により15年で償却することになります。

これらの工事の際には、上水道については、水道事業者に対し「水道利用加入金」を、下水道については、市町村に対し「受益者負担金」を支払うことがあります。似たようなものに見える支出ではありますが、税法上の取扱いに違いがありますので整理してみましょう。

水道利用加入金は無形固定資産

上水道の加入金については、「無形固定資産」の「水道施設利用権」あるいは「工業用水施設利用権」として資産計上し、定額法により15年で均等償却(残存価額はゼロ)することになります。

この「水道施設利用権」とは、「水道事業者に対して水道施設を設けるために要する費用を負担し、その施設を利用して水の供給を受ける権利」とされています。他人(水道事業者)の所有する水道施設を利用することを目的とする「権利」であり、その金額は、メーターの口径で決められます。

受益者負担金は繰延資産

下水道の「受益者負担金」は「税法上の繰延資産」となります。

これは、市町村が所有・管理する下水道(=公共施設)について、法人・個人事業者自身が受けるメリットを反映するため費用配分を行うものであるからです(土地の地積に負担金単価を乗じて計算されます)。

公共施設負担金の償却年数は、その施設の耐用年数の7/10とされていますが、現実に、その設備ごとに償却期間を定めると煩雑になることから、このような「受益者負担金」については、通達により一律に6年とされています(法基通8-2-5)。ただし、公共下水道を使用する排水設備を新設・拡張するための負担金は、「水道施設利用権」に準じて取り扱うこととされています(法基通7-1-8)。

分割払の受益者負担金

なお、受益者負担金は分割納付を認める市町村が多く見られますが、繰延資産は原則として3年超の場合には、総額が確定していても、その総額を未払計上して償却することを認めていません(法基通8-3-3)。

ただし、長期分割払いについては、①分割払いの期間が繰延資産の償却期間以上で、②分割支払額が概ね均等額であり、③徴収が工事着工後に開始される場合には、その支出日の属する事業年度において損金に算入することができるものとされています(法基通8-3-4)。